レコードプレスに適したマスターについて 〜その1 
レコードプレスに適したマスターについて 〜その2

 

アナログレコードを制作するにおいて、カッティングに向けて納品する音源のあり方はとても重要です。

CDなどのデジタル用に向けたような音源の帯域範囲と、アナログカッティングで可能な帯域(歪まず針飛びしない帯域)範囲は異なります。

例えば、CD用に作られたマスター音源をアナログカッティング用に同じく使用した場合、そのCD用データと同じような再現ができることは基本的にないと考えた方がよいです。*特にリミッターを挟んだ音源

逆位相やローエンドの成分が多いとノイズや音飛びの原因となります。音圧が高すぎるものや低域・高域の音量が大きいものはカットされ、聴感上大きな違いが生じます。
CD用にコンプレッサーを多用して音圧を上げたものはダイナミックレンジが狭くなり、このままレコードにすれば音が小さくなったり解像度が低い音の仕上がりになってしまいます。質量として、楽曲のパワー感まで潰してしまう領域にリミッターをかけてしまうと音量は稼ぐことは出来ません。

以下のサウンドクリップは一見波形上ではあまり大差がないかもしれませんが、デジタル音源としてリミッターを過度に挿した場合と、トラックダウンのままなにも手を加えていないアンマスタード・データ、アナログ用プリマスタリングを施したデータの3種から比較しました。

 

まずはトラックダウンしただけのアンマスタード・データと、それをヴァイナル盤にカット(7″)してリッピングした音源を紹介します。

ダイナミックレンジは確保され、ある程度ヘッドルームに余裕があるカット結果となりました。ただし、急なクリッピングサウンドの制御がないため、針飛びや歪みがないように全体のボリュームは少し下げる方向になります。

 

次に、現代に多いリミッターを過度に挿した参考音源と、それをヴァイナル盤にカット(7″)してリッピングした音源から紹介します。

カットした音源はダイナミックレンジがあまりなく、音量が抑えられた結果となっていると思います。

 

最後に、プロのアナログ・マスタリングエンジニアがトリートメントしてヴァイナル盤にカット(7″)してリッピングした音源を紹介します。

ダイナミックレンジを確保しつつ、低域がリッチでボリュームを稼いだ音源になっていると思います。急なクリッピングや歪みやすい帯域にくるサウンドを全体の印象を壊さず制御し、低域などをリッチにする効果が出ています。

音源の持っている特性によって問題は様々になりますが、アナログ用プリマスタリングを施すと楽曲のもつ表現をレコード特性の収録範囲で可能な限り再現することができます。

 

もしご自身のもつマスター音源がレコード特性にきちんと収録されるか不安な場合や、よりよいレコード音源に仕上げたい場合はぜひ弊社のプリマスタリングシステムをご利用ください。

 

*音源提供

BTB – BE THANKFUL WHAT YOU GOT (Shinjuku Tracks)

Cut (7″) & Mastered by Wax Alchemy

 

 

About the Author

Ichitaro Ohara

ウルフパックジャパン・マネージャー。1980年生まれ。レコードにまつわる業務に長く関わってきた経験をもって、スムースなサービスができるよう心がけます。