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CATEGORY - レコード作り / コラム

【レコード制作インタビュー】 吉田省念 | 12″ 2LPレコード制作 A式

2023年12月27日、アルバム『吉田省念』を発売された吉田省念様。
2枚組LPの大作として発表された本作は、当社がマスター盤のカッティングからプレスまでお手伝いさせていただいた作品です。
今回はご発売後のタイミングにて、あくまでレコードというフォーマットにこだわって制作された理由や、吉田様の本作への思い・こだわりを伺いました。
 
本作の仕様
– 12″LP 2枚組 *国内弊社スタジオラッカーカッティング仕様
– プリントインナースリーブ
– A式ゲートフォールド (見開き)
– OPP口開けバッグ
 
 
 
①本作は全23曲とLP2枚分にわたる大作ですが、2024年3月時点でCD単独での発売やデジタル配信はされておりません。「レコード」というフォーマットをメインに据えて制作を進められた理由がありましたら教えてください。
 
ロマンを優先し追求した結果です。
 
②本作は、「鳴らしているサウンドもとにかく自由。緊迫した始まりから少しずつ糸が解けていくような流れも美しい。」(Mikki by Tower Record、2023年12月27日)と評されています通り、多彩で自由なサウンドが特徴の一作ですが、こういった楽曲群をレコードとして聴かせる上で、ミックス/マスタリングで留意された点を教えてください。
 
アナログレコードの制作は費用がかかる点でプレッシャーもありますし、音楽に精密さを意識しすぎてしまわないよう心がけます。本来の音楽の自由さを尊重するべく、音の間にも空気を意識できる仲間、エンジニア・マスタリング、演奏家と共に、アナログの良さを理解する人選が必要だと思います。
 
③今回は収録曲全曲がセルフプロデュースであることに加え、アートワークもご自身で手掛けられているとのことですが、デザインを進行する上で、CD等のフォーマットとの違いやお力を入れられた点等ございましたら教えてください。
 
単純に物としての重みや大きさが違うので、飛び込んでくる情報が小さく収まりすぎない様に心がけました。ダブルアルバム、ゲートフォールド仕様に憧れがあったので、見開いた時の開放感、文字の配列、受ける印象を想像して作りました。
今までの作品のデザインもディレクションはしていたのですが、本作は自身のドキュメンタリー性を持たせたい意図もあって自分の仕事だけで完結させました。
個人的にはCDのジャケットを作るよりも楽しくできました。
 
 
④本作ではマスター盤の制作にあたり、「国内カッティング(当社スタジオでのラッカー盤作成)」を選択されています。国内カッティングをご利用になってのご感想や、カッティングのお立ち会い時に印象に残った点などございましたら教えてください。
 
レコーディングからマスタリングの過程は、どれだけアナログの機材を使用してレコーディングしてもデジタル媒体での入稿になります。ですのでカッティングに立ち会い、レコードにプレスする事の良し悪しを理解したかったです。
国内でコロナ禍もある中立ち合いができる事は非常にためになりましたし、次のアナログ制作にも音作りの上で参考になりました。
 
⑤本作をリスナー様にどのようにお楽しみいただきたいか、お考えがございましたらお聞かせください。
 
レコードの特徴として盤面の世界観があると思います。本作はA.B.C.D面の4つの顔を持つ作品だと思うので、状況に合わせて針を落としていただければと思います。
 
⑥インディペンデントな活動をされているアーティスト / レーベル様で、これからレコードを制作しようか迷われている方に向けて、何かアドバイス等ございましたらご教示お願いいたします。
 
レコードにおいて言えば、音楽の制作過程においてよりシンプルに、自分の納得できる空気感を追求されたら良いと思います。
 
 
全23曲という、CDなどでもボリュームたっぷりに感じる作品を、「ロマンを優先し追求」その一点において、敢えてアナログのみで発表された吉田様。
冒頭の回答を拝見し、素直に「かっこいい…!」と感嘆させられました。
A面/B面…と区切りが分かれるレコードというメディアであるからこそ、世界観や物語性をより立体的に表現できるのかもしれません。
音源はもちろんアートワークまで、細部までご自身の手のこだわりが反映された本作、ぜひお楽しみいただけましたら幸いです。
吉田省念様、この度は誠にありがとうございました!
 
 
PROFILE: 吉田省念

1980年京都に生まれ現在は主にギターリスト・SSWとして活動中。
13歳でエレキギターに出会って以降バンドに没頭。
以来ルーツミュージックからアバンギャルドまで多岐に吸収し、作り出す音には奥行きと情景を求める。
2000年美術学校を卒業後、すみれ患者・SUZMENBAなどへの参加をきっかけに音楽シーンの交友関係を広め、
CD付ZINE「月刊ナイフ」(2003) /「songs」(2008) /「黄金の館」(2016) /「桃源郷」(2017)/「空前のサミット Undiscovered peak」(2021)/「吉田省念」2LP(2023)とソロアルバムを発表。
作中ではマルチに楽器演奏をこなし編曲やアートワークも自ら行う事から、楽曲提供・CM音楽制作・舞台音楽制作・描画・文筆など活動の幅は広い。
参加グループ作品は、SUZMENBA「faint memory」(2005) /「enitohanicolte」(2007) /「Because brain tells me!」(2010)、吉田省念と三日月スープ「Relax」(2009)、くるり「坩堝の電圧」(2012)、奇妙礼太郎「more music」(2018)、現代家族「空間の美食家 in New York・ヨシダミノル」(2019)。
あがた森魚・オクノ修・Yatchi・KENT VALLEY・いちやなぎの作品にゲスト参加。

ミュージカル「ジョジョの奇妙な冒険」ファントムブラッドにおける特殊効果音バンドメンバーとして参加
2014年から続ける京都・拾得でのマンスリーライブ「黄金の館」も見逃せない。

 
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